参考程度にお読み下さい。
はじめに – 私たちの声が、未来の誰かを救う力になる
化膿性汗腺炎(Hidradenitis Suppurativa, HS)と共に生きる私たちの日々の経験や悩み、そして治療の中で感じる小さな気づき。それは、同じ病気を抱える仲間を励ますだけでなく、未来の医療を前進させるための、かけがえのない「価値」を持っています。
このページは、化膿性汗腺炎wikiが企業様と行った協業の一例であり、私たちのサイトにとって、今後の活動の礎となる、非常に重要な経験の記録です。
企業様とのご協力はこれまでにもありましたが、ここまで複雑なご依頼に対し、企業様と密に連携しながら一つひとつの課題を乗り越え、確かな成果へと繋げられたのは、この取り組みが初めてでした。
この記録を公開する目的は、2つあります。
- 患者様・ご家族様へ
- 「私たちの声が、こんなにも真剣に求められ、社会の役に立つんだ」という事実を知っていただくこと。そして、安心して私たちの活動に参加していただくこと。
- ご協力をご検討中の企業様へ
- 私たちがどのような姿勢で連携に取り組むのか、その具体的で誠実なプロセスを知っていただくこと。
これは、たった一つの事例かもしれません。しかし、ここには患者と企業が手を取り合い、未来をより良くするための確かな一歩が刻まれています。この記録が、多くの患者さんにとっては希望となり、多くの企業様にとっては信頼の証となることを願っています。
ご依頼の概要と、私たちが直面した「現実的な壁」
始まりは一通の、誠実なメールから
2025年6月10日、私たちのサイトに合同会社ワイズトランスレーションのご担当者様より一通のお問い合わせが届きました。
ご依頼の概要
項目 | 内容 |
---|---|
依頼元企業 | 合同会社ワイズトランスレーション |
依頼内容 | 化膿性汗腺炎(HS)の治験等で用いる質問票(全6種・A4用紙9枚分)の日本語訳に関する「認知デブリーフィング」※協力者の募集仲介 |
協力者の条件 | 5名の化膿性汗腺炎患者様(当初は男女比3:2または2:3、かつ年齢層が分散していることが望ましい) |
協力内容 | 30分程度のZoomインタビュー(音声のみ)への参加 |
今回の取り組みの目的 | 治験で使われる質問票の言葉が、日本の患者さんにとって自然で分かりやすいものになっているかを確認し、品質を向上させることで、未来の医療に貢献すること。 |
※認知デブリーフィングとは?:翻訳されたアンケートの質問などが、意図した通りに正しく、そして自然に理解されるかを確認するためのインタビュー調査のことです。
ご担当者様からのメールは非常に丁寧で、取り組みの目的も明確に記されていました。
しかし、正直なところ、私たちはすぐには協力を決断できませんでした。
男女比や年齢分散の指定、応募者様にお願いする手続きの多さなど、個人で運営する当サイトにとっては、これまでに経験したことのない複雑なご依頼であり、「果たしてやり遂げられるだろうか」「正直、断った方が良いのではないか」と、大いに迷ったのです。
それでも、最終的に私たちが協力を決意したのは、この取り組みが持つ「医療の未来に直接貢献できる」という、他に代えがたい大きな意義があったからです。困難は予想されましたが、この素晴らしい機会を逃したくない。その一心で、私たちはこの挑戦に臨むことにしました。
そして今、この挑戦を乗り越えた経験が、私たちの大きな財産となっています。
【本記事の核心】困難を乗り越えた、対話と協力の全記録
ここからは、私たちが実際にどのように考え、行動し、そして依頼元であるワイズトランスレーションのご担当者様が、それにどう応えてくださったのか、その「誠実な対話」の記録を、実際の流れに沿ってご紹介します。
それは簡単な道のりではありませんでしたが、一つひとつの対話が、信頼を築くための大切な積み木となっていきました。
Step 1: 協力の前提を築く – 複雑な条件への対応
まず私たちが直面したのは、これまでにない複雑な募集条件でした。
ご担当者様からは、「男女比3:2」「年齢分散」という理想的な条件を達成するため、応募状況に応じてリアルタイムに募集条件を変更していく方法が提案されました。しかし、これは個人サイトの運営体制(即時更新不可、常時監視不可)では現実的に不可能でした。そこで私たちは、この限界を正直にお伝えした上で、「募集状況の更新にタイムラグが生じる場合がある」という注意書きを記事に設けることを提案しました。この提案に対し、ご担当者様はただ同意するだけでなく、「その結果、応募を頂いたにもかかわらず、参加できないような場合もあります」と、より応募者に寄り添った、誠実な文面へと修正してくださいました。
Step 2: 募集記事の共同制作 – 認識のズレをなくすための共同作業
上記Step1の合意事項を全て盛り込み、私たちは募集記事の下書きを作成しました。そして、トラブルを未然に防ぐための最も重要な工程として、公開前にご担当者様へレビューを依頼しました。
- 事実関係の確認: 社名の正確な表記や、応募フォームの入力形式(年齢を1歳単位へ、学歴の選択肢を4つへ変更)など、細部に至るまで共同で確認・修正を行いました。
- 専門的な定義の明確化: 応募資格の対象外となる「臨床試験に参加している」という言葉の定義について、こちらから質問。「観察期間が終了し、治験終了となった時点で有資格となる」という明確な回答を得ることで、応募者の誤解を招かない、正確な記事を作成することができました。
Step 3: 予期せぬ事態への柔軟な対応 – 計画から実践への移行
募集開始後、私たちは様々な予期せぬ事態に直面しました。
- 計画と異なる応募状況: 当初の想定に反し、男性からの応募が先行。私たちは即座に男性の募集を停止し、ご担当者様に報告。ご担当者様がクライアントと交渉してくださった結果、「男性4名、女性1名」へと条件が柔軟に緩和されました。
- その他の課題への対応: 実際には、この他にも公開できない複数の問題が発生しましたが、私たちはその一つひとつに、ご担当者様と共に向き合い、対応していきました。
これらの出来事は、この取り組みが単なる告知の掲載ではなく、発生する問題一つひとつに、共に汗を流しながら対応していく、真の「協業」であったことを示しています。
【エピローグ】困難を乗り越え、未来に繋がる関係へ
ご担当者様がご自身の対応を気にされていたため、私たちは、ご担当者様が決してご自身を責めることのないよう、患者さん特有の心理(例えば、個人情報を伝えることへの強い抵抗感や、病状によるコミュニケーションへの不安など)について、私たちの考えをお伝えしました。
このやり取りに対し、ご担当者様からは、心からの感謝の言葉が贈られました。
「いずれにせよ運営者様のご協力により、この取り組みが進められ、治験につながることとなったことはよかったと思います。」
そして後日、この実績ページの作成と掲載の許可をお願いした際には、即座のご快諾と共に、私たちの活動への深いご理解を示す、大変温かいお言葉もいただきました。
企業と患者コミュニティが、互いの立場を尊重し、誠実な対話を重ねること。その先に、未来をより良くする確かな可能性があることを、私たちはこの経験から学びました。このような温かいお言葉をいただけたことは、私たちにとって何よりの励みであり、今後の活動への大きな自信となりました。
まとめ:この経験から私たちが目指すこと
このワイズトランスレーション様との協業は、私たちに多くの学びと、確固たる自信を与えてくれました。この経験を通じて確立した、化膿性汗腺炎wikiが企業連携において目指す姿勢を、ここに改めて示します。
ご協力をご検討中の企業様へ
私たちは、単に人を紹介するだけの存在ではありません。
- 私たちは『質の高い橋渡し役』でありたいと考えています。
- ご依頼の背景と目的を深く理解し、最適な協力が得られるよう、誠実な対話を重ねることをお約束します。
- 私たちは『リスク管理』を何よりも大切にしています。
- 募集記事の下書き確認をはじめ、コンプライアンスや表現の正確性に細心の注意を払い、共に取り組みを成功に導く努力をいたします。
- 私たちは、常に患者さんの視点に立つ『コミュニティ運営者』としての自覚を持って行動します。
企業様からの依頼対応マニュアルはこちら
安心して、私たちのサイトにご相談ください。共に未来の医療を創るパートナーとして、誠心誠意ご協力させていただきます。
コミュニティに参加してくださる患者様・ご家族様へ
何よりもまず、今回ご応募・ご協力くださった皆様に、心から感謝申し上げます。
このサイトの全ての活動は、「対患者第一主義」という理念に基づいています。
- あなたの安全と安心を最優先に考えます。
- 企業からの依頼は、その信頼性を私たちが厳しくチェックします。少しでも不安な点があれば、私たちが盾となって企業と交渉するよう努めます。
- あなたの「声」の価値を最大化することを目指します。
- いただいた声が、確実に社会や医療の発展に繋がるよう、私たちはその「橋渡し」の質に徹底的にこだわっていきます。
- 得られた収益は、コミュニティのために。
- 企業連携によって収益が生じた際には、サイトの維持・運営だけでなく、コミュニティの活性化など、患者さん全体の利益となる形で活用していくことを目指します。
あなたの声には、世界を変える力があります。
これからも、化膿性汗腺炎wikiは、その声が正しく、そして力強く社会に届くための、安全で信頼できる場所であり続けたいと願っています。
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